長縄拓哉 |
作品を作り始めたのは何歳頃ですか?きっかけはありましたか?
痛みと感覚の医学研究に必要で、被験者に見せる絵を描き始めました。当時29歳だったと思います
アーティストを志したきっかけは何でしたか?
病気や健康に無関心な人に正しい医療情報を届けることは日常臨床だけでは難しく、現代美術の力を使わせてもらおうと思いました。
作風が確立するまでの経緯を教えてください。
作品を通して国民の健康増進が図れるように試行錯誤しており、全く確立されておりません。
作品を発表し始めたのは何歳頃ですか?発表するまでにどういった経緯がありましたか?
29歳当時、研究のために制作した作品をfacebookなどに投稿したところ、各所から制作の依頼をいただくようになりました。
アーティストステートメントについて語ってください。
「健康や医療に興味はないがアートは好き」という人がいます。現代美術は鑑賞者が作品のコンテクストを読んで楽しんでくれるので、作品の中に医学情報を入れておけば、鑑賞者が無自覚に医学情報をインプットしてくれる可能性があります。2021年の報告では、私の作品をきっかけに85%の人にコミュニケーションが生まれ、医学的な会話が促されることがわかりました。作品を通して国民のヘルスリテラシーを向上させ、新たな疾病予防ができればと思います。
作品はどうやって作っていますか?技法について教えてください。
パソコンやAIなどのデジタル機器を用いてラフを制作しキャンバスに転写します。アクリル絵の具と筆で色付けし、ニスを塗って完成です。
『a case of 6 years』2024年、キャンバスにアクリル、72.7x 72.7 x3cm
作品制作で困難な点や苦労する点を教えてください。
診療の後、子供たちが寝た後に制作するので寝不足になります。
今後の制作において挑戦したいことや意識していきたいことを教えてください。
医学情報を含んだ作品が身近にあると、コミュニケーションが生まれヘルスリテラシーが向上する可能性があります。たくさんの人に作品を見ていただければいただくほど、疾病予防が期待できます。アートとは無縁の媒体や場所に作品を滑りこませたり、一家に一点、一部屋に一点、目につくところに私の作品を置いていただき、健康を意識してもらえるように、できるだけたくさん制作したいと思います。
長縄拓哉 |
1982年、愛知県生まれ
2007年、東京歯科大学卒業
2023年、デジタルハリウッド大学大学院中退
長縄拓哉は、現役の歯科医師(医学博士)であり現代美術作家。東京歯科大学卒業後、東京女子医科大学病院、デンマーク・オーフス大学での口腔顔面領域の難治性疼痛(OFP)研究を経て、口腔顔面領域の感覚検査器を開発。IADR(2015、ボストン)ニューロサイエンスアワードを受賞。現代美術の特性を応用し、医療や健康に無関心な人々や小児のヘルスリテラシーを向上させ疾病予防をめざす。
著書に、医療介護の現場で役立つベーシックオーラルケア(クインエッセンス出版)、歯科オンライン診療の現在(インターアクション株式会社)など。